「サイダーのように言葉が湧き上がる」の監督トークショーに行ってきました
よくあるアニメオタクor子供向け夏の単発映画よなぁと番宣を見て思っていたのですが、なんと高崎のイオンモールが舞台になっている!ということでいそいそと見に行くこととなりました
ちょうど運よく監督のトークショー付きで見られるということもあり予約をいれて見に行くことに
物語感想
ダルマがよく出てくるのは群馬らしさかなと思いました。
それはともかくとして舞台が身近であることを除いてしまうと、平均的な夏の映画という感想ですかね
映像はかなり良く、緻密な風景描写や最初のスケボーカメラワークや作画は素晴らしかったです。全体通してカメラの動きをかなり意識している印象を受けました。アニメらしくない大胆なカメラの動き方には驚いたりしたり。
物語は箱庭的なのでこじんまりとした展開になってしまっていることから見る人によっては退屈に感じるかもしれません
心理描写には結構力を入れており一見してわかるようになっています
身近に配信の環境があったり、作品を発表できる場所があったり、ネットがあまりにも生活に溶け込んでいるということも現代少年少女を反映しているのかなぁと思いました。
インターネットの文字メディアというのは情報量が少なくなりますが、代わりにノイズが乗りづらいという利点もあります。今回の場合主人公君の俳句の文字表現の美しさという観点でいえば声など出さずとも、小さい声がノイズにかき消されることもなく正確に情報が伝わるというメリットがありますが、逆に生身の人間が感情を載せて五感すべての情報量を使うことで相手に訴えるということはやりづらいというデメリットもあります。そういうことも伝えたかったのかなぁという次第
個人的には惜しい作品です。あと少し話に起伏があれば…
監督トークショー
20分ほどだったのですがとても濃い話が聞けて良かったです。主に舞台としてなぜこの場所(群馬)を選んだのかということと聖地巡礼のためのロケハン裏話が語られました
舞台
イオンモール高崎
舞台になっただけあってタイアップもかねていろいろ展示とかしてあります
作中と全く同じ構造で風景もそのままなので見る前に一回りしておくといろんな発見あるかもしれません
老人ホームはなかったと思います多分
歯医者は…あったような…場所はコンタクトレンズの店のところのような気がします…確証はないですが
外観と周りの田んぼは完全に再現されてますので地元の民としてはよくぞここまでという感じです
選ばれた理由については、物語の主役である若い子たちの原風景がショッピングモールに移っているのではないかというところから話を膨らませていったらしいです。
監督自身の青春の原風景は駅前のゲームセンターの隅にあるストリートファイター2だったらしいですが、今の若者は何もかもすべてが揃っている大型ショッピングモールこそが青春のたまり場となるのではないかということから決まったようです
また地方都市であることや箱庭感も意識したとおっしゃっていました。ロケーションとしては田んぼの真っただ中にある箱庭で、その外側を山が囲み、話自体もほぼ箱庭の中で完結するということになっています。
群馬に決まったのはロケハンの都合上足を延ばせるのが北関東くらいまで、かつ箱庭感を出すために田んぼの中にドーンとあるということが必要だったということみたいです。
群馬ではこことオタク御用達MOVIX伊勢崎でしか上映してくれてません。聖地特権ですかね。普段からもっとオタク映画いっぱいやってほしいんですけどね…伊勢崎は高崎からは遠いのです…
農道
二人だけの世界を作るための農道はロケハンの際に見つけて採用されたとのこと。
二人の距離感を描写するために使っているのかなと思っていましたが、監督自身もまさにその通りに使ったということで、浜辺と海のような形だと思っていただければということでした。
多少誇張して轍を書いていたり、風景として山の場所が少し理想の形に整えられていたり、バイパスに街頭を書き足していたりとアニメだからこそつける嘘を使って整えたということです。アニメの強みはまさにそういうことだよなと感心させられました。と同時にやはりその場の空気感を表現するためには実際に見て触れて経験することが大事なのだと、百聞は一見に如かずということもおっしゃられており、まさにその通りで、現地の人間でも納得のできる風景描写のためにはそこまでするのかと感激しました
物語のキーとなる牛伏山
高崎市民としてもあまりなじみがないかもしれませんが、いちおう桜の名所やハイキングコースとして取り上げられることの多い場所です
電波塔も景色も謎の城も内部の謎の展示も完全再現です
一応オタク的補足としてセガサターンをここら辺の企業が作ってたらしく展示品として置いてあったりします。
桜は作中出てきませんが時期が合えば綺麗なスポットです
もともと話の都合上桜の名所が必要ということで周辺を探した結果見つかったところだったらしく、行ってみたら謎の電波塔があるわ、謎の城が立ってるわで絵になるからと採用されたとのこと。確かになんも知らない人が見に行ったらそんな感想になるだろうなと思います
風景もよく、桜の季節にも来たということを語ってらっしゃいました
土地というレイヤーと音楽と記憶
フライングドッグの作品ということで音楽を入れることは決まっていたようです
そこに土地の記憶や人々の記憶という部分を織り交ぜていったということ
特に土地の記憶はレイヤーのように重なっていくという話に感心しました。確かに今は別の建物があるかもしれませんが、その場所には今はなくてもそこにあったはずのものがレイヤーとして重なり、それは人々の記憶にも通じるものがあるだろうということ
昔の地図を掘り起こして土地の記憶を見てみるとまた違った発見があるのかもしれないなと思いました
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